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2009年4月29日 (水)

学力低下は錯覚?

学力低下は錯覚である 学力低下は錯覚である

著者:神永 正博
販売元:森北出版
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教育の世界にまつわる”常識”について、数値等の分析を元に、まったく異なる仮説を展開しています。

円周率を3として教える、は誤解である。昔も今も円周率は3.14であり、簡易的に3と教えてもよいと言っているだけである

昔も今も、学生の質は大きく変わっていない。これが意味するところは優秀な学生の全体に占める比率は大きく変わっていない。ただし、昔に比べると、飛びぬけて優秀な層と、飛びぬけて落ちこぼれている層が減っている。これはゆとり教育の成果(影響?)かもしれない

大学において学生の質が低下して見えるのは、大学の定員が学生全体に占める割合が増加しているため。つまり大学の定員が昔よりも増加しているからである。そのため、昔ならば大学に入学しなかった(またはできなかった)層が大学に来ているのだ。学生の総数が減少しているのだから、大学のレベルを一定に保つためには、大学の定員を減少させる必要があった。それにも関わらず定員を増やしているのだから、各大学における平均が下がるのは当然である

理系を目指す学生は今も昔も一定割合存在する。ただし、理系学部のうち工学部の人気が落ちているのだけなのだ。理系ばなれというのは正確ではなく、工学部離れでしかない。また理系だと生涯年俸が低いというのも錯覚である。比較対象となる文系は金融機関を中心とした給料の高い層を選び、理系のうち医学部など給料の高い学部を除いたものとで比較しているため、低く見えているのだ。そもそも金融機関などは理系でも就職できるのであり、この比較そのものがおかしい

☆☆☆--個々の現場において感じていることと全体としてみたときの姿は必ずしも一致しない。そのことをまざまざと感じさせてくれる本です。ゆとり教育だから学生のレベルが低下した、というのは学生・教員ともに言い訳でしなない、というところを心する必要がある。それとともに世間の常識が必ずしも正しいわけではない、ということを再認識できる本です。

2009年4月26日 (日)

最強CFO列伝 --それぞれのスタイル

最強CFO列伝 ― 巨大企業を操るもう一人の最高権力者たち 最強CFO列伝 ― 巨大企業を操るもう一人の最高権力者たち

著者:井手 正介
販売元:日経BP社
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財務部門の最高責任者であるCFO。財務部門といえば、昔は会計係の出世頭。決算を適正に作成することが一番の業務だった。だが、今では大規模な買収案件をとりまとめたり、問題を抱える会社を立て直したり、新しい戦略を立案したりと、経営問題全般に深くかかわるオールラウンド・プレーヤーなのである。業務全般にわたる該博な知識と深い経営戦略のセンスを併せ持っている。それがスーパーCFOなのだ。

企業価値創造にバリュー・チェーンがあるのと同様に、CFO業務にもファイナンス・バリュー・ラインとでも言うべき業務の流れがある。財務戦略策定、投資管理、税務・資金プラン、予算・計画策定、経理処理、業績評価という順番である。現代は「選択と集中」の観点から、絶えざる事業リストラと財務リストラが要求される。これこそがスーパーCFOを生み出すきっかけとなった。

現代のCFOの業務領域は著しく多様化し専門化している。このため各CFOは多かれ少なかれ得意技、得意分野を見につけるようになった。そしてその腕を買われて、企業から企業へ渡り歩くケースも増えている。

紹介されているスーパーCFO(抜粋)

・レジ・ジョーンズ(GE)

・ゲリー・ウィルソン(マリオット、ディズニー他)

☆☆☆--CFOという称号がよく聞かれるようになったのは最近のことです。なぜCFOが力を持つにいたったのか。CFOの役割が歴史的にどのように変遷してきたのか。具体的にどのようなCFOがいて、どのような業績を上げてきたのか。大きな流れをしることができます。また、ここのCFOには得意技・得意分野があることにも気がつきます。CFOの役割を知り、それぞれのスタイルを確立する。企業財務に関わる人や、将来経営者を目指す人には、ちょうどよい歴史読み物になるでしょう。

2009年4月22日 (水)

ツレさんの告白 --うつ病からの回復

こんなツレでゴメンナサイ。 こんなツレでゴメンナサイ。

著者:望月 昭
販売元:文藝春秋
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うつ病になった夫、通称”ツレ”さん。「ツレがうつになりまして」で、妻から見たうつ病の様子と夫婦の取り組み、思いなどを描きだしていました。今回は、本人の側からみたうつ病の様子と自分の心の動きを、その頃のメモや記憶をたどりながら、記しています。

「今日、病院に行かなければ離婚」、「会社を辞めなければ離婚」。離婚は嫌だという思いで病院に行き、会社を辞める。当時の判断はたいてい間違っていたが、こうやって後押しされたおかげで行ったこの判断は誤っていなかった。

うつ病から回復するなかで、重度の貧血が治り、子供も授かったというあたりが、仕事が体と心に及ぼす影響を示唆しています。

心の病は外からは分かりにくいもの。また関係者どうしでの情報交換なども少なかったそうです。そういう点も含めて、ツレうつシリーズの果たした役割は大きい、と思います。(☆☆)

2009年4月19日 (日)

世界チャンピオンの光と影

マイノリティーの拳 マイノリティーの拳

著者:林 壮一
販売元:新潮社
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あきらめずに自らの目標に向かって努力していたら、いつか何かが起こるもんさ。「お前がキューキュー軋む音を立てて車を走らせていたら、きっと誰かがオイルを入れに助けに来てくれる。人生とは、そういうものだ」でも、いい事を待つだけで、何もしない者のところに幸せは来ない。ボクシングは私に人生を与えてくれた。人間はどうあるべきか、精神とは如何なるものか、すべてを教わったね。(マービン・ハグラー)

ボクサーとしてのピークは1994年、マイケル・モラー戦の頃だね。相手をコントロールできたし、どんな種類のジャブを打てばいいのかも把捉していた。あの時期がピークさ。経験によって知性や耐久力がついた部分も大きい。若き日よりも明確な目的があったから、トレーナーのアドバイスを細かく守った。自己を信頼できるようになったからこそ、昔より優れたファイターになれたんだ。(ジョージ・フォアマン)

チャンピオンになる人間の9割以上は、貧民街の出身だ。だがゲットーやバリオで教養に欠けて育った男であっても、世界一となることによって成長していく。殿堂入りを果たすようなチャンピオンは、それぞれ人間として器の大きさも見せる。

☆☆☆--世界チャンピオンになったからといって豊かな生活が送れるとはかぎらない、という現実。それぞれに懸命に生きている生き様。同じリングに立ったものでも、その来し方、行く末には大きな差があるようです。ボクシング好きな人だけでなく、生き方を考えたい人にこそ読んでほしい。よい本です。

2009年4月15日 (水)

教わる技術

「自分から教わる!」技術 「自分から教わる!」技術

著者:人見 隆之
販売元:日本実業出版社
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「人が教えてくれない」ほうが悪いのではなく「教えてもらえないほう」が悪いのです。教わる相手の「教わり方」のうまい下手によって、大きな違いが出ます。教わり方のうまい人は、「なるほど、そういうことか」と納得し、短期間で効果をあげることができます。

「教わる」ことを意識していれば、人と接する態度が変わります。態度が変われば、行動が変わります。行動が変われば、自分を変えることができます。

うまく教わるためには、知識をたくさん集めることや自分のプライドよりも、もっと優先すべきことがあります。笑顔をよそおってみるだけで、コワモテの相手でも、あなたへの態度が柔らかくなるものです。教わったことを教えてみると、自分がどの程度習熟したか、もすぐ分かります。

☆☆☆--うまく教われないほうが悪い。この考え方には驚きました。それとともに、なるほど、とも感じました。すべては自分が原因だとして考えれば、よりよい状態を作り出すために行動できるのは自分自身です。教わる技術だけでなく、仕事に対する考え方を学ぶ本としても秀逸です。教わったことはマネてみる。さっそく、この本の知恵を用いてみることにします。

2009年4月12日 (日)

企業価値評価 マッキンゼーのやり方

企業価値評価 第4版 【上】 企業価値評価 第4版 【上】

著者:マッキンゼー・アンド・カンパニー,ティム・コラー,マーク・フーカート,デイビッド・ウェッセルズ
販売元:ダイヤモンド社
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株式が「割安」とか「割高」というとき、理論的に計算した(もしくは感覚的な)値と比較しています。感覚的なものは人それぞれですが、理論的にはどのように考えたらよいのでしょう?

これはコンサルタント会社のマッキンゼーが、企業価値をどのように評価するのか、という手法・考え方を示した本です。

企業価値評価に用いられる理論と、価値評価をするために必要な具体的な作業(財務諸表情報の組み替え、整理や予測財務諸表の作成方法など)も含めて、きわめて詳細に語られます。詳細に語っておりながら、一方では、不必要に手間をかけることを諌めており、非常にバランスの取れています。

どこまで踏み込んで学ぶかは各人の都合によりますが、手元に一冊置いておき、時々に参照したい。それだけの価値があります。

2009年4月 8日 (水)

リーダーシップの形

マンデー・モーニング・リーダーシップ マンデー・モーニング・リーダーシップ

著者:デビッド・コットレル(David Cottrell)
販売元:東洋経済新報社
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車のドライバーと同乗者は違う。同乗者なら好き勝手にできる多くのことがドライバーにはできない。ドライバーが運転中にふざけていることはできないのだ。同じ原則がリーダーになるときにも当てはまる。マネジャーになれば責任が重くなるだけでなく、それまでにあったある種の権利や自由を失うことにもなる。上層部の愚痴をいう権利はないし、自分の部署の問題を人のせいにする権利はないのだ。真のリーダーなら非難の矛先を探すのではなく、その問題解決に時間を費やすべきなのだ。

リーダーは一番重要な問題から逃げてはいけない。問題解決をするにあたっては、根本的な問題はなにかを考えて、それを解決することに集中すべきである

時間の上手な使い方は二つしかない。やることを減らすか、もっとてきぱきとやるかだ。人生が思うようにならないと感じることは、ストレス、不安、憂鬱を引き起こす主な原因のひとつである。自分の時間管理についても同様だ。どうにも変えられないこともあるが、時間を有効に使いたければ、わずかなあき時間を見つけていくことだ。

で、今週はどんなことを違ったやり方でやってみるのかな?

☆☆☆--毎週月曜日の朝に仕事の悩みについてコーチングを受ける。そんな物語形式の本です。リーダーの本質について簡潔に、わかりやすく記されています。人生のほとんどは考え方と、自分がどう対処するかにかかっている。問題があるならば、学習をし、今までとは異なったやり方でやってみる。それで問題が解決しなくても、新しい気づきがあり学びがある。そんな当たり前のことに気づくことができる本です。

2009年4月 5日 (日)

強者のしくみ -セブンイレブンとしまむら

強者のしくみ 論理的思考と全体最適を徹底する会社 強者のしくみ 論理的思考と全体最適を徹底する会社

著者:磯部 洋
販売元:ダイヤモンド社
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セブンイレブンとしまむらの経営は、日本の他の会社のそれと大きく異なっている。他の会社でも2社と同じことはできるのだが、やろうとしていないだけである。それはおそらく確信犯であろう。自分たちの経営が正しいと思っているのだ。

2社の経営に共通するものは

1.論理的経営   論理を構築し、そのとおりに運営を行うこと。世の中は理屈だけでは動かないというが、論理を構築・検証し、ずれがあったら修正する。それを繰り返しつつ、情に流されることのない経営を行うのだ

2.売り上げを目標にしない  売り上げはお客様の支持を示すバロメーターである。だから売り上げを目標にするのではなく、売り上げが下がった本当の原因を探し、それに対する手を打つことに注力するのだ。売り上げを目標にすると、安易な値下げや販売促進に走ることになる

3.しくみで動かす  すごく優秀な人の”芸”で動かすのではない。優秀な人が行う型を仕組み化することで、その知恵を全体で共有する。その結果誰がやっても同じだけの高いレベルでの結果を導き出すことができる

4.コントロールと全体最適  部分最適が全体最適を導き出すとは限らない。全体最適のためには、ベクトルを合わせて、全体をコントロールする技術とリーダーシップが不可欠である。そして2社にはそれがある

☆☆--ビジネスプロセスという視点から2社を捉えた書物です。論理的であることが重要、という意見に同意します。だから経営者に情がなくてもよい、というのは極論でしょう。欧米の会社でもトップに上り詰める人には心・教養が大切と言います。ただ、論理のない”情”では経営は成り立たないという主張は心して聞くべき、と思います。

以前ご紹介した本が参考になるでしょう。

世界で戦うキャリアづくり―グローバルを知る外資系トップが語るリーダーの条件 世界で戦うキャリアづくり―グローバルを知る外資系トップが語るリーダーの条件

著者:脇若 英治
販売元:ダイヤモンド社
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2009年4月 1日 (水)

科学英語の書き方・話し方

科学英語の書き方・話し方 伝わる論文と発表のコツ 科学英語の書き方・話し方 伝わる論文と発表のコツ

著者:井口 道生
販売元:丸善
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他人(政府や企業など)の資金を使って仕事をする自然科学者は、仕事の内容、成果および意義を説明する義務がある。現在の世界では、自然科学の結果の大部分は英語で発表されている。そしてこの事情はただちには変わりそうもない。そのため、英語によるCommunicationsは避けることができない。

書くことと話すことは違う。書くときには理論的な展開が必要だ。詳細を示し、論理の流れを明らかにする。同じことを繰り返さない。図や表はできるだけ詳しくして、内容を豊富にするのがよい。

一方、話すときには、印象的な理解が必要だ。大要を示し、意図や展望を伝えようと努力する。同じことをを繰り返して言うのはひとつの表現法である。短い文章を用いて話し、図や表はひと目で分かるようにする。

科学の口頭発表はやさしいと考えて始めよう。口頭発表をする場では、聞き手はわれわれの話題に多大の関心を抱いている。また、公演要旨などもすでに配られている。そして、与えられた時間のあいだは、聞き手は黙って話に耳を傾けようと座っているのだ。話すだけでは意を尽くせないであろうという配慮もあって、黒板やoverhead projectionやPowerpointも使えるようになっている。まさにいたれり尽くせりの状況である。このような好条件のもとで、自分の言わんとすることを相手に伝えられないはずはないのだ。

☆☆--科学英語と銘打っていますが、ビジネス英語でも同様な状況があると考えます。言葉の使い方、表現の仕方、発表準備の仕方など、さまざまな場面で参考になります。科学者に限らず、文系で英語を使う方にもお勧めです。

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