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2009年5月31日 (日)

コーヒーの鬼

コーヒーの鬼がゆく―吉祥寺「もか」遺聞 コーヒーの鬼がゆく―吉祥寺「もか」遺聞

著者:嶋中 労
販売元:中央公論新社
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コーヒー自家焙煎の世界には愛すべき奇人たちが棲んでいる。その中で御三家の一角を占め、コーヒー馬鹿と呼ばれた吉祥寺「もか」店主・標交紀。彼についての本である。

味覚の世界は不確かなもの。わかる者にはわかるし、わからぬ者にはどうしてもわからない。標には絶対的にうまいとされる味覚のポイントを瞬時にかぎ当てる才能があったようだ。彼のコーヒーには、日本人にしかわからないうまみみたいなものがいっぱい詰まっていて、それを飛ばさないようにうまく煎りこんである。品のよいえぐみが凝縮され、ひとつのまとまった味として統合されている。

理想のコーヒーを追い求め、日々工夫をし、海外でもコーヒー畑とコーヒー店ばかりを回っていたという標夫妻。まさにとりつかれた、という表現がふさわしい生き方。コーヒーが分かるかどうか、ということは別として、そこまでの魅力を見出し、工夫を続けるという姿から何かを感じ取ることはできるでしょう。それが一番の学びであるように感じる一冊です。(☆☆)

2009年5月27日 (水)

おひとりさまの老後

 おひとりさまの老後 おひとりさまの老後
販売元:TSUTAYA online
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老後は家族に看取られて・・・。昔は当然と思われていたことが、これからは当然でなくなるかもしれない。老後を独身で過ごした場合だけではなく、子供がいない夫婦で配偶者と死別した場合も、いつかはひとりで老後を過ごすことになる。それは、日本人の平均寿命を念頭におく限り、大半の場合女性である。

結局、最後はひとりになるのだ。その視点から、どこで暮らすか、どう暮らすか。誰と付き合うか。お金はどうするか。介護はどう受けるか、などの視点から述べている本である。軽くないテーマを扱ってはいるが、どこか軽いタッチで描かれている本。おしゃべりを本にしたようなタッチを感じるのは、著者の意図するところだろう。重い話は軽く語ったほうがよいのだ。

大半が女性の観点から書かれているが、男性にも参考になるはず。最後はひとり、という点では男性も同様な覚悟が必要だ。漠然とした不安を抱いている人にはぜひお勧めしたい本。(☆☆)

2009年5月24日 (日)

ピアノの歴史 - スタインウェイができるまで

スタインウェイができるまで―あるピアノの伝記 スタインウェイができるまで―あるピアノの伝記

著者:ジェイムズ バロン
販売元:青土社
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スタインウェイのピアノ。音楽好きでなくても聞いたことはあるでしょう。ピアノの名門メーカー。その中で1台のピアノが出来上がるまで。出来上がってコンサートなどの舞台に上がるまで。それから数年の歳月を経るまで。それらをピアノを作る一つ一つの工程と作業者の説明・紹介とともにたどっていきます。

ピアノや音楽が好きな人であれば、スタインウェイの歴史や、そこに集まる綺羅星のようなピアニストたちの話、ピアノの構造など、さらに興味深く読むことができるでしょう。そうではない人も、ひとつの芸術作品(工業製品ではない、と感じます)が出来上がるまで、という観点で読むことができます。

本書で主人公となったK0862。(製造番号565700。コンサート用グランドピアノとしての番号CD-60)は、なかなかの作品に仕上がったようです。多くの人の演奏や調整を経て、楽器がその才能(?)を開花させていく姿は、音楽だけではなく、楽器そのものまでもがひとつの作品であることを思い起こさせてくれます。

☆☆--音楽・芸術に興味のある方にお勧めです。アメリカにある製造業の現場の様子を知りたい人にも参考になるかもしれません。

2009年5月20日 (水)

農業で起業 - 脱サラ農業

農で起業する!―脱サラ農業のススメ 農で起業する!―脱サラ農業のススメ

著者:杉山 経昌
販売元:築地書館
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何を作るかを決めていなくても心配はいらない。「三反歩のハウスがあれば何を作っても1000万になる」のだ。ただし、何を作るかで、何を我慢するかは変わる。トマトなら眠いを我慢、イチゴなら腰が痛いを我慢、キュウリだと農薬怖いを我慢する。どんな仕事でも何かを我慢しなければならない。これはどの産業でも同じこと。自分が何を我慢するか決めさえすれば1000万になるので、妻子を路頭に迷わすことはないのだ。

農業に経営計画・シミュレーションの考え方を持ち込んだのは、今までにはない考え方だったようだ。実際に農業を始めても、何をどうやっていいか分からない。やったことといったらたいが間違いだった。しかし、シミュレーションで予測をたてることで、結果がずれた原因を知ることができ、どうしなければならないか、を修正することができた。これは大きかった。

農業には情報化が必要だ。名人芸を求めることも大切だが、育てる植物の健康管理をすうrための仕組みを整備しよう。必要と思われる成分を計測して肥料を調節することが必要だ。なんとなく、という経験値では、先生によって異なる指導をされるため、かえって分からなくなる。

田園生活者になってストレスがなくなった。精神的にきわめて健康になった。自分の判断ミスでする失敗は「俺って馬鹿だな!」と思うだけでストレスにはならない。情報不足は自分の勉強が足りないだけ。自然現象もストレス要因ではない。農業はほんとに楽しいものなんだ。

☆☆☆--農業を事業として捉える、という視点が面白いです。事業計画を作り、予測と結果を比べて軌道修正をする。まさに事業運営そのものです。最後のところは自分でつくったもの以外は信用できない。消費者もそれなりの対価を払わなければ、よいものを手に入れることはできない。農業の抱える問題点も垣間見えます。起業に興味のあるかた。こんな起業の形もありますよ。

2009年5月17日 (日)

日本社会の「神話」 - それは本当か?

日本産業社会の「神話」―経済自虐史観をただす 日本産業社会の「神話」―経済自虐史観をただす

著者:小池 和男
販売元:日本経済新聞出版社
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集団主義が日本文化だというのは思い込みである。新古今和歌集の時代から、合議制よりも特定個人の推薦が重要視されてきた。江戸時代の私塾では個人の席次が重要で、ひとりひとりの序列が明確化されてきたではないか。

アメリカのホワイトカラーは仕事給ではなく、社内資格給である.。勤続をつんだだけでは上の社内資格に昇格しない点は日本と同じである。しかし大きな誤解もある。ひとつの社内資格の中で定期昇給を続ける仕組みであり、基本給には大きな幅があるのだ。そのため社員によっては下の資格のもののほうが上位資格のものより基本給が多いことが珍しくないのだ。また、査定においても日本ほどには個人に差をつけていない。最上位から最下位までの分布度合いは明らかに日本企業の査定の方が分散が大きい。つまり日本企業の方が最下位に査定される人数割合が大きいのだ。

日本企業は長時間労働により競争力を維持してきた、といわれたものだ。しかし、アメリカでは現場労働者でも係長クラスには時間外の概念がない。ホワイトカラーではそもそも新人の時点からない。そのため、時間外を記録すらしない。日本では課長になって初めて時間外手当てがなくなる。時間外の記録も当然それを反映する。労働時間統計の前提となる数値の取り方が異なっているのだ。そのうえ、アメリカのホワイトカラーエリートが長時間働くことは有名な事実だ。この2つは何を意味するだろうか。答えは明白だろう。日本のほうが長時間働いているというのは幻想でしかない。

日本とアメリカで大きくことなっていることがある。アメリカではホワイトカラーにのみ求められている高度な判断・改善提案などが、日本では現場作業者にも広く求められている点である。

☆☆☆--私たちが当然と考えていた「長時間労働」や「集団主義」。統計がそう示している、と考えてきました。しかし、統計作成の前提となるデータの取り方が異なっている、となると話は変わります。筆者が現地で感じてきた違和感を糸口に、私たちの”常識”に疑問を投げかけます。世間の常識に安易にとらわれてはいけない、という反省をこめて、お勧めします。

2009年5月13日 (水)

たいまつは自分の手で - ホンダと藤沢

松明(たいまつ)は自分の手で 松明(たいまつ)は自分の手で

著者:藤沢 武夫
販売元:PHP研究所
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タテ糸がまっすぐ通っていて、はじめてヨコ糸は自由自在に動くわけですね。一本の太い筋は通っていて、しかも状況に応じて自在に動ける、これが経営であると思うんですよ。本田技研のタテ糸を性格づけたのは、本田のヒューマニズムであり、私のロマンチシズムだったといっていいでしょうね。

あれだけの技術者でありながら、本田は、自分から設備、機械がなければできないといってねだったことがないんです。与えられた条件の中で可能性を見つけ出そうとして、けっして弱音を吐かない。だから、私がかねを出して入れたものは、価値なく無駄なものとすることは、けっしてなかったんです。

本田宗一郎という人は、合理主義者なんですね。大勢の人間が集まって仕事をするときもすべて合理主義で割り切ろうとしました。もちろん、みんなに納得させる理論を真向うから振りかざすときは、そうでなくてはならないはずだし、そうであって初めて事業が急上昇できるわけです。けれども、合理主義では割り切れない仕事をやるのが、私の役目だったですね。まったく、人間には得手不得手というものはあるものですね。

ホンダは、松明を自分の手でかかげてゆく企業である。日本の自動車企業には前を行くものの明かり、その明るいところにくっついてゆく行きかたをするものが多い。たとえ、小さな松明であろうと自分で作って自分たちで持って、みんなの方角とちがったところが何ヵ所かありながら進んでいく、これがホンダである。いついかなるときでも、先に松明をかざすものはそれだけの力をもっているものである。

☆☆☆--本田宗一郎の右腕としてホンダの経営に携わった藤沢氏の本。経営に対する考え方、企業のあり方など、ホンダの経営を通して、藤沢氏および本田宗一郎氏の考え方を知ることができます。時代が変わった今でも十分に通用する考え方です。むしろ情勢が落ち着かない今だからこそ、原点に戻るという意味で、お勧めです。

2009年5月10日 (日)

世界銀行のお仕事

 貧困に立ち向かう仕事 世界銀行で働く日本女性 貧困に立ち向かう仕事 世界銀行で働く日本女性
販売元:セブンアンドワイ
セブンアンドワイで詳細を確認する

女性は日本では仕事がしづらい。自分が学んだ経済学の知識を国の開発に役立たせることができる。そんな思いで飛び込んだ世界銀行の世界。国にとっては第三者の立場で知識や人材を投入し、その国の発展に寄与する。それが世界銀行の仕事です。

プロジェクトは政治に左右されることがままあります。それでも知識はその国に残り、やがてはその国で花が開く。国の発展のために役立たせることができるのです。

日本人はもっと国際社会に出て活躍すべきです。まずは自分の専門をしっかりともつこと。そして語学を鍛えること。さらに外国で骨を埋める覚悟を持つことです。日本社会で生きているときは、よい意味でもわるい意味でも、甘えられるという体質がありますが、海外ではそうはいきません。日本も競争社会ですが、海外では競争の激しさが違うのです。人への頼り方が違ってくる、ということです。情熱をもって仕事に取り組んでほしいと願っています。

☆☆--日本の新幹線は世界銀行の融資を受けたそうです。その上、融資そのものよりも、日本に交通網としての鉄道が存続する価値があるか。新幹線を敷設する意味はあるか。あるとしたら国としての便益はどのようなものか。それらを踏まえて運賃設定はどのように考えたらよいのか、など膨大な知識を提供したそうです。そのような知識・知恵の現場で働いていた人の言葉には重みと思いがあります。特に心構えの点は見習うことができるでしょう。

2009年5月 6日 (水)

石油は化石からできるって本当?

石油の支配者 (文春新書) 石油の支配者 (文春新書)

著者:浜田 和幸
販売元:文藝春秋
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石油は化石からできるため、資源はいずれ枯渇する。石油の可能採掘量が増加しているのは技術レベルが上昇したからである。これが世界の常識である。しかし本当だろうか?だれか石油が化石からできていることを証明できているだろうか?

石油の可能採掘量が何十年たっても変わらない油田。突然大幅に増加する油田など。石油の世界では良く分からないことがたくさんある。ピークオイル説は流布されて久しいが、いまだに限界は分からない。

日本は世界的に見て、非常に高い値段で石油を買っている国である。中東諸国など一部の国では、市場価格とかけ離れた安価な価格で石油を購入しているのだ。

☆☆--この本に記載されていることを検証するすべを持ち合わせていません。ただ、石油は化石からできているという”常識”を疑ってみる価値がある、という点が印象に残ります。石油の「支配者」は誰なのか。それは実際に本を読んでください。

2009年5月 3日 (日)

おつまみ横丁

もう一軒 おつまみ横丁―さらにおいしい酒の肴185 もう一軒 おつまみ横丁―さらにおいしい酒の肴185

著者:瀬尾幸子
販売元:池田書店
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お酒のあてになにかを食べたい、少しおなかがすいた、といったことが時々あります。手をかけてなにかを作るのは面倒だけど、なにか食べたい。そんなときにお手軽な料理の本です。

料理の作り方はすべて3項目で記載。たけのこのおかか煮があると思えば、豆腐の刺身やはんぺんのバター焼きなど、簡単にできて、なおかつ美味しそうな品々。手間もかからない。おつまみのよいところを凝縮しています。

普段の料理にあと一品付け加えたい。そんなときにも重宝する一冊です。GWに一品作ってみませんか?(☆☆)

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