中国の現実 ワイルド・スワン
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ワイルド・スワン〈上〉 著者:ユン チアン |
中国を舞台に、筆者の母を中心とした家族の物語である。一方で、舞台が戦時中の中国、そして国共の争い、中華人民共和国の成立、文化大革命などを背景としているため、単なる個人の物語というだけではない。ある家族からみた中国の現実を示す本でもある。
ひとことで言うと、「なんともすさまじい」という印象。戦争中の日本、国民党、中国の人民、進入してくるソ連。数多くの登場人物が、それぞれ自らの権益だけのために他の人たちを粗雑に扱い、蹂躙する。それらへのアンチテーゼとして台頭してきたはずの中国共産党。個人の所有権を否定するということは、個人のすべてを共産党にゆだねることであり、それ以外の一切のものを禁じるということであった、という現実。
一人が政府の高官になれば、親族すべてに恩恵が及ぶという現実。収賄なども含め、ひたすら個人の蓄財に励む人たち。共産党の世界になっても結局は同じ道を歩むこととなる現実。これが人間の姿であり、目をそらしてはいけない現実である。そこから何を学んできたか。そしてこれからにどうやって活かすのか。内容の重い本である。(☆☆☆)








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