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2009年11月 8日 (日)

音楽を考える・語る - 音楽の聴き方

音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書) 音楽の聴き方―聴く型と趣味を語る言葉 (中公新書)

著者:岡田 暁生
販売元:中央公論新社
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大多数の人にとって音楽を聴く最大の喜びは、他の人と体験を共有し、心を通わせ合うことにあると私は信じている。自由闊達に語り合えればそれだけ音楽は楽しい。この意味で聴く喜びはかなりの程度で、語り合える喜びに比例する。聴くことと語り合うことが一体となってこそ音楽の喜びは生まれるのだ。

音楽を語る言葉は、努力によって磨くことができる。ここには確かな方法論が存在する。決して才能のたぐいの話ではないし、意思疎通ができないものではないし、好みは洗練させることができるものである。個々の体験を、互いに明瞭に関連付けることができれば感覚的な印象と言葉が知の体系として構築されていく。

芸術体験には相性の一面がある。この相性はいわば自分の中にある「内なる図書館」があり、これまでに読んだ本、読んだけれど忘れてしまった本、噂に聞いたことがある本、批評を読んだことのある本などについてのもろもろの記憶の断片が反応しているのである。この図書館は少しずつわれわれ自身が作り上げてきたものであり、切り離せないものである。そう考えると、これまでどういう本(音楽)に囲まれてきたか、どのような価値観をそこかれ植えつけられてきたか、どういうことを吹き込まれてきたか。相性とは、自分の「内なる図書館」の履歴によって規定されているのだ。

音楽を聴くとき、無意識に音の流れを区切って聴いているはずだ。音楽をどう区切り、どう抑揚をつけるかは、その国の言語と密接にかかわっている。つまり音楽にも「お国訛り」というものが存在しているというわけだ。その上、音楽は複数の文章が集まって段落となり、段落が集まって節になり、複数の節から章が作られるといった建築構造がとられており、一つの言語である。つまり音楽を聴きながらそれをきちんと言語として把握し、眼前で表象する能力が必要となってくるのだ。つまり、このような建築的な音楽の構造を学ぶことが音楽の聴き方を学ぶということである。

音楽には本来の文脈があり、伝承過程で形成されてきた文脈があり、別の文化に移植されることで加わる文脈がある。

有名な音楽家でも「駄作/駄演」はあり、「傑作/名演」として名高いものでも、隅から隅まで完璧に仕上がっているものはそうはない。

明らかにお粗末な音楽というものも、自分の価値観を形成していくうえで、とても貴重なものだ。両極端の経験を得て初めて、さまざまな陰影が見えてくるようになる。

☆☆ -- 音楽は好きですが、それをどのように他の人と分かち合ってよいかがわからない。音楽が大好きな人たちが熱心に語り合う中で途方に暮れた覚えがあります。音楽の楽しみには人と分かち合う喜びがある、という筆者の主張にはうなずきます。巻末 おわりに の部分で示唆に富む提言がたくさん示されていて、さらに参考文献も示されています。それを参考に学ぼう、と考えています。

2009年9月27日 (日)

広告とコピーの関係 - 一語一絵

一語一絵 一語一絵

著者:真木 準
販売元:宣伝会議
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広告はコピーと絵の出会いであり、「一語一絵」は広告の理想郷である。心奪う一語と目奪う一絵が出会い、表現の最高峰を生み出す。同時に幾多の才能との出会いで一語と一絵が生まれる。

コピーライターである眞木氏が手がけた広告を、広告の写真、コピーに加え、眞木氏のエッセイとともに紹介する本。一服の絵画が、印象深いコピーとともに味わえる。”でっかいどお。北海道”、”恋を何年、休んでますか”、”飲むときは、ただの人”など。さまざまな作品をまとめて鑑賞することができます。

広告が本来PRしたい商品から乖離していく。広告には常に危うさが付きまといます。それでも、このような幸せな関係がある(あった)のだ、と思うと、広告も立派な作品であり、多くの人が関わるだけのことはある。そのことを再認識しました。広告関係だけでなく、美術、文筆。さまざま人にお勧めできる作品集です。(☆☆☆)

2009年5月24日 (日)

ピアノの歴史 - スタインウェイができるまで

スタインウェイができるまで―あるピアノの伝記 スタインウェイができるまで―あるピアノの伝記

著者:ジェイムズ バロン
販売元:青土社
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スタインウェイのピアノ。音楽好きでなくても聞いたことはあるでしょう。ピアノの名門メーカー。その中で1台のピアノが出来上がるまで。出来上がってコンサートなどの舞台に上がるまで。それから数年の歳月を経るまで。それらをピアノを作る一つ一つの工程と作業者の説明・紹介とともにたどっていきます。

ピアノや音楽が好きな人であれば、スタインウェイの歴史や、そこに集まる綺羅星のようなピアニストたちの話、ピアノの構造など、さらに興味深く読むことができるでしょう。そうではない人も、ひとつの芸術作品(工業製品ではない、と感じます)が出来上がるまで、という観点で読むことができます。

本書で主人公となったK0862。(製造番号565700。コンサート用グランドピアノとしての番号CD-60)は、なかなかの作品に仕上がったようです。多くの人の演奏や調整を経て、楽器がその才能(?)を開花させていく姿は、音楽だけではなく、楽器そのものまでもがひとつの作品であることを思い起こさせてくれます。

☆☆--音楽・芸術に興味のある方にお勧めです。アメリカにある製造業の現場の様子を知りたい人にも参考になるかもしれません。

2009年2月18日 (水)

美神の邂逅 -見立ての美

美神の邂逅 美神の邂逅

販売元:楽天ブックス
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そのものだけで美しいものがあります。それに見立て・取り合わせを加えると、さらに美しさが際立つことがあるものです。銀座で画廊を営む筆者による見立ての美を感じる本です。

簡潔な語りの文章を右側に、左側に美しい写真。写真の中に静謐さとともに、作品そのものが語りだす雰囲気とを併せもつ、素敵な写真集です。

芸術というと近づきにくい印象を受けますが、美しいものを見ることで何かを感じる自分がいます。自分の心の動きを感じながらみることで、新たな発見があることを期待、そんな本です。 ☆☆

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